プレス油と絞り加工
2024.03.15
「絞り加工に適した油ってどんなもの? 加工によって使い分けたほうがいいの?」
回答)プレス加工油は加工内容に合わせて設計されています。
加工内容によって使い分けるほうが、性能面、コスト面からも理想です(プレス加工油の強さもご覧ください)。
「絞り加工に適した油」は多数あり、『コレが最適』と言うことは難しく、それぞれの加工に合わせて選定する方が現実的です。
一般的に、ワークの変形が大きい加工ほど潤滑力の強い油が用いられます。
潤滑力と言っても金属間を単に滑らせる場合とワークの変形を伴う場合の潤滑性能は異なります。
後者では極圧添加剤と呼ばれる厳しい加工条件下で働く添加剤がよく用いられます(極圧添加剤の原理とは?もご覧ください)。
※絞り加工イメージ
当記事では絞り加工時のワークの動きをイメージして、油に求められる性能を考えてみます。
絞り加工では金型とワークが接触している/していない部分や材料が伸びていく/縮んでいく部分、など部分部分によってワーク材料の動き方は異なります。
※絞り加工イメージ2
ワークはカップ形状の底の縁から側面にかけて外側は伸ばされ、内側は縮みます。
側面ではしごき加工が同時に行われることがほとんどであり、側面全体が深さ方向に伸ばされます。
それに対してカップ底面の伸び縮みはごくわずか~ほぼ動きなしです。
このように一つの加工の中で、金型やワークにかかる負荷の大きい/小さい部分が存在します。
「負荷の小さい≒ワークがほぼ変形しない」部分は単純に滑らせるだけの成分が働き、「負荷が大きい≒ワーク材料が大きく動く」部分は極圧添加剤などの成分が働きます。
またしごき加工の部分は金型とワークの接触面積が大きくなり、適した成分を配合した油を使用しないと焼き付いてしまいます。
このようなことから絞り加工油には、様々な負荷に合わせて働く成分がバランスよく配合されていることが求められます。
当社品では絞り加工におすすめの塩素非含有 油性プレス加工潤滑剤として、メカエコプレス#2007H、メカエコプレスC-100Cがあります。
どちらも絞り加工油として高評いただいている製品ですが、両製品をユーザー様でサンプルトライすると結果に違いが出ることがあります。
加工形状や材質、単発/順送などの加工条件によって、材料の動き方が異なるためです。
まずは系統の異なる両者をサンプルトライし、傾向を確認した上で適したプレス油に絞り込んでいくとスムーズに選定できることが多いです。
絞り加工での課題やサンプルのご要望がありましたらお気軽にご相談ください。