銅系ワークのプレス加工油 変色について
2022.08.08
「銅のせん断加工を行っているが、加工後の保管中にワークが変色してしまう。なぜ変色するのでしょうか?」という問い合わせを頂きました。
回答)硫黄入りの潤滑剤を使用しているならば、硫黄成分が変色に影響している可能性が高いと考えられます。硫黄入りでない潤滑剤を使用していても、保管条件によって、ワークの変色を引き起こす可能性があります。
対策としては、
①油剤変更:より変色しにくいものにする。(硫黄入りの油剤を使用しない。)
②条件変更:加工後すぐに潤滑剤を脱脂する。保管期間を短くする。銅用の防錆剤(当社CP-CU等)を使用する。
などが考えられます。
当社としては、①と②を同時にしていただくことをおすすめします。
上記①に関して、油剤選定方法の一つとして銅板腐食試験があります。
磨いた銅板を加温条件下で油剤に浸漬して変色の度合いを比較する試験で、1aから4cまでの12段階で評価をします。
1aが最も変色を発生させにくい評価となり、潤滑油の選定の目安となります。
しかしながら、あくまで目安です。
この試験において良好な結果であったとしても、別の条件で変色してしまうことがあります。
例えば、保管が長期である、ワークが重なり合っている、別の素材と接触している、湿気が多い、その他いろいろです。
逆にこの試験結果が最良の1aでない潤滑油でも、上記②のように「すぐに脱脂をする」「適切な防錆剤を使用する」ことにより、銅加工に採用された事例があります。
当社としては、ユーザー様の加工条件、保管条件、妥協できない点、トータルコストなどを共有し、お客様にとってベストなご提案をしたいと考えています。銅系ワークのプレス加工で変色のお困りがありましたら、ご相談ください。