生菌数の測定方法
2024.05.27
こんな質問を受けることがあります。
「菌の数ってどうやって測定するの?」
回答)
寒天培地で菌を増やすと目に見えるようになります。
それを数えて算出します。
水溶性切削液などの腐敗具合を調べるために、液中の生きている菌の数を数値化します。
いろんな数え方があるようですが、当社で測定している方法を紹介します。
少し専門的なお話になりますが、こんな測定事例があります。
ある器具2つを使用後、A)一方はそのまま、B)もう一方はアルコール消毒して、それぞれケースに入れて保管しました。
翌日、A)とB)をそれぞれ同じ量、今回の試験では13.5mLの滅菌水(菌のいない水)中で浸漬洗いしました。
A)を洗った水には菌がいるだろうと予想されますが、どのくらいいるかわかりません。
そこでA)を洗った水を予め滅菌水を使って希釈しておきます。
これはのちに菌数を数えやすくするためです。
例えば10倍、100倍、1000倍に薄めます。
さて、菌を肉眼で数える方法です。
菌が繁殖しやすくするために栄養たっぷりの寒天をつくります。
これをシャーレに入れます。培地と呼ばれています。
菌はとても小さく肉眼で見ることはできませんが、この培地に1個の菌を置くと時間とともに増殖して広がっていきヒトの目にも見えるようになります。
培地に先ほどの薄めた液をわずかな一定量ずつ入れ、表面全体に塗りのばします。
10倍、100倍、1000倍の液を塗りのばした3つの試験培地ができました。
他方で、B)を洗った「菌がいないだろう水」は希釈せずにそのまま培地に塗りのばします。
合計4つの試験培地を29℃で3日間放置します。
29℃は菌が繁殖しやすい温度で、もし菌がいれば繁殖して試験培地に点状に現れます。
写真左はA)菌がいると予想される水を1000倍に薄めた液を塗りのばしたもの。そして、右はB)菌がいないと予想される水を薄めずにそのまま塗りのばしたものの結果です。
白っぽい点が菌です。
この点を数えて、塗りのばした液量と希釈倍率から「器具を洗った水13.5mL」中の菌数を計算できます。
写真の例では、A)菌がいると予想された水中には72万、B)いないと予想された水は0という結果でした。
10倍、100倍、1000倍と希釈を変えて3つ仕込んだのは、菌がいそうだけどどの程度いるかはやってみないとわからないためです。
今回の結果では10倍と100倍は菌の点があまりにも多すぎて数えられませんでした。
ホームページ上だけではお伝えできない専門的な話など、担当営業からご説明させていただきます。
また、ご興味ある方は、当社代表的な殺菌剤の違いについてのブログ記事もご覧ください。
水溶性切削剤の腐敗や殺菌剤の選定など、お気軽にお問合せください。