メカロイヤルコート開発秘話
2024.09.10
開発担当に訊きました。
メカロイヤルコートの開発背景は?
あるワイヤ放電加工機ユーザーのお話です。
錆びやすい鉄材料を加工するとき、一般的な油性防錆剤(当社品ではCP-3のようなタイプ)を塗布して加工しているとのことでしたが、
加工水中では簡単に剥がれてしまい、多少の防錆効果は出るものの十分とは言えませんでした。
そこで、微量(=薄い皮膜、=水に油分が浮かない量)でも十分な防錆効果を
発揮する製品の開発が始まりました。
開発担当者は、自社他社さまざまな油性防錆剤を塗って試しました。
確かにいくらか錆が抑えられましたが、十分な防錆性能ではありませんでした。
また防錆性能を高めるには厚く塗る必要がありますが、加工水を油分で汚してしまいます(水に油膜が浮いてしまいます)。
開発の過程では、様々な原料、その組み合わせから100以上の試作を重ねたそうです。
その結果『超薄膜』であるにもかかわらず、優れた防錆性能が得られる配合「メカロイヤルコート」を完成しました。
超薄膜とは数10~数100ナノメートル(計算値)という薄さです。
(※当社CP-3は2~3 µmとなり、約100~10分の1の厚さとなります。)
実際には液をウエスで塗り広げながら「拭き取り」した後の厚みです。
(※拭きとりイメージ)
指紋がつかない程度の薄さなので、油分が水に浮くこともありません。
試作品を数社でテストしていただき、あるユーザー様から結果を「秀逸」と表現していただいたことがうれしかったそうです。
メカロイヤルコートは使い方がそれまでにないやり方であり、営業マンも説明が大変だったようです。
①加工前にワークに液を塗ります(ここまではご理解いただけます)
②次にウエスで拭き上げます(この操作が新しくてご理解いただくまでに時間がかかります。
「せっかく塗ったのに無くなっちゃうんじゃないの?」とお客様から言われますが、
実際には、「超薄膜」という状態を達成するために拭き上げることをお願いしています)
③ワークをセットして加工へ
分子レベルの超薄膜で防錆するメカロイヤルコートの開発秘話でした。
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