希釈に使っている水は大丈夫?
2024.06.11
水溶性の加工油剤(切削液、研削液など)をご使用のお客様から、
「加工液の腐敗が早い」
「浮遊物、沈殿物が発生する」
「錆が出る」
といった問題で、相談・分析依頼を受けることがあります。
その原因は、使用による加工液の劣化だけでないことがあります。
原因の1つとして希釈に使用する水を疑うことがあります。
話を聞いていくと、「希釈に工業用水を使っているよ」、「機械も加工材も条件は何も変えてないけど工場を移転したよ」と回答をもらうことがあります。
水質の問題を疑った際に、その要因と対策を下記にまとめました。
加工油剤の希釈に使った時に起きる問題 | 水質の状態 | なぜか | 対策 |
腐敗の発生 | 生菌数が高い | 加工油剤の防腐成分が使用中の菌数増加を抑えるためではなく、
希釈時の水に存在する菌で消耗されてしまうため |
防腐剤(メカバイオアウトシリーズ等)の添加 |
浮遊物、沈殿物の発生 | 硬度が高い
(カルシウムイオン、マグネシウムイオン濃度が高い) |
一部の成分と反応し不溶性の物質を作るため | 希釈に使う水を予めイオン交換樹脂に通す |
機械、加工材が錆びる | 塩化物イオン、硫酸イオン濃度が高い | 腐食性を高めるイオンであり、
不働態被膜を破壊するため |
防錆剤(メカヒビター#50)の添加、
希釈に使う水を予めイオン交換樹脂に通す |
希釈水が原因の全てではありませんが、
「工業用水を水道水に変えていただく」
「イオン交換樹脂を通していただく」
「防腐剤や防錆剤の添加」といったことが対策として挙げられます。
水溶性の加工油剤を使用しており、使用に不安を持った時には、ぜひお気軽にご相談ください。