ステンレスのもらい錆と錆取り剤
2022.12.02
「ステンレスのもらい錆、錆取り剤で落ちる?」
回答)
錆の状態によって変わります。
錆がまだ浅い状態であれば落とせる可能性があります。
放置時間が長く、深い錆になると錆取り剤では難しくなります。
ステンレスはこの記事(ステンレスの表面~クロムの酸化皮膜)のように錆びにくい金属ですが、もらい錆と呼ばれる現象で錆が発生します。
もらい錆はある金属の錆が別の金属にバトンパスされることを言います。
こんな実験をしてみました。
ステンレス板に錆びたクリップをのせます(写真①)。
3~4日ごとに1滴の水をクリップの上からかけました。
3週間後、クリップを持ち上げるとクリップの形で錆が残っています(写真②)。
このように、別の金属(この場合は鉄材)の錆がステンレス表面にバトンパスされました。〈もらい錆〉
バトンパスされた錆は表面に乗っている状態で「浅い」錆です。
錆クリップを乗せたまま錆びやすい環境下で放置すると徐々にステンレス内部へ浸食し「深い」錆に変化していきます。
錆を見つけたら「浅い」うちに錆取り剤で落とすことができます。写真③はKC-12を含ませたティッシュで錆びた面の半分を拭き上げた状態です。
KC-12で拭いたところが、錆落としだけでなくくすみが落ちてきれいになってしまいました(写真④)。
実験ではクリップを使いはっきりとわかるもらい錆ができましたが、現場では目に見えるか見えないかくらいの微細なスラッジが原因となり、いつの間にか点状のもらい錆ができていることもあります。
周辺でスラッジが飛散、付着する可能性がある場合は、製品洗浄でスラッジを落とすことはもちろん、カバーをかける、防錆油使用等の対策も効果的です。
ステンレスは錆びにくい性質ですが、もらい錆以外にもさまざまな条件下(酸性物質や塩素分の存在等)で、「深い」錆ができてしまいます。
深くなりすぎると削るしかありませんが、早期に発見できれば錆取り剤で落とすことが可能です。
ステンレスのもらい錆や錆取り剤について、課題やお困りごとがありましたらお気軽にお問い合わせください。